数量限定の記念スイカの発売をめぐって、東京駅周辺が機動隊も出動する大変な騒動になったようです。徹夜で並ぶ事が禁じられたのに、それを守らず、あるいはそうと知らずに徹夜した人たちが記念スイカを手にし、始発で来て並んだ人達はあまりの人出に発売が急遽中止になって買えないという結果に。JRの対応のマズさはメデイア各局までとりあげて非難ごうごう。結局、増刷して希望者全員が後日入手できるということで一応落着。 「何の為に長時間並んだんだ、時間を返せ」「数量限定のレア物だからこそ並んだのに」「プレミア付きで落札したのに金返せ」etc・etc・・ JR幹部はそろって平身低頭。それと画像の手押しソリに何の関係が?? それがア、自分の気持ち的にはあるんです。 このキッズパルク、最初に作ったのは4年前。 スエーデンやフィンランドなどの北欧諸国では、厳しい冬でも積極的に子供を屋外に連れ出す習慣が根付いていて、こんな手押しのソリに赤ん坊や幼児を乗せて押す人たちが街の風景になっている事を知っていました。 ひもで引っ張る安定性の悪いソリじゃなく、もうちょっとカッコいいソリを作って北国生まれの孫を祝福してやりたい。そ
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吹雪が去って
今週半ば、数年に一度という猛烈に発達した低気圧がオホーツク海上に出現し、北海道をはじめ全国に積雪と強風を押し付けていきました。週のはじめに九州の東方海上にあった1000hpちょっとのごく普通の低気圧が、上空の季節風に押されて北北東へ進みながら950hpにまで発達し、水曜日には日本海から進んで来た別の低気圧と北海道東方で合体し、昨冬に道東方面で9人の犠牲者を出した嵐を上回る大きさに膨張してしまいした。 去年の記憶がそうさせたのか、おとといの木曜日は道東方面のみならず、札幌でも全ての公立学校が休校というめずらしい措置がとられました。 気圧の低さが大潮と重なって水位を上げ、さらに強風による高波が打ちつけて、根室では海岸近くの住宅が床上浸水の被害を受けたようです。三人の高齢者が除雪中の事故で亡くなったようですが、去年のように猛吹雪で動けないクルマでの一酸化炭素中毒や凍死といった惨劇は見ずに済みました。 札幌でもどうなることかと気に掛かりましたが、一夜明けた工房周辺は大山鳴動のわりには40cmほど積雪が増えただけでした。
季節をまたぐ
先週、所用で東京へ行って来ました。 北海道から本州へ飛行機でひとまたぎするとき、冬に向っては季節が2ヶ月ほど逆戻り、その反対に夏に向っては1〜2ヶ月先に進みます。 雪こそ少ないものの、氷点下の朝に札幌を発って数時間後に湘南を走るのはなんとも奇妙な感じです。地元の人にとってはこれが冬の風物詩だと言われそうですが、三浦半島名物という収穫前の三浦大根やキャベツの元気な葉が青々と畑を覆い、公園や道端のフェニックスとともに視界から入る感覚を押し戻してくれるようです。 東京や横浜市内の街路樹のいちょうも、歩道を黄色く染めてはいるもののまだ大半の葉は枝についたまま三角錐の樹形を飾っています。 みなとみらいを望む山下公園(画像)でも、欅の葉こそ散っていましたが、人に踏まれない芝生はまだまだ緑です。 札幌へ戻ってくるなり昨日も今日も除雪機と一緒にお仕事。もう本州に出かける予定はないので、このまま4月までは白い世界の中で過ごします。
センキョ
「オーゥ、しばらく!! 元気してたか?」 去年まで農家だったYさんが、いつものように突然しゃべりながら入ってきた。 「アベノミクスだかハゲノミクスだか知らんけどよ、またセンキョっちゅうんでないか。いい加減にすれっちゅうのよな。今だら負ける気しないからって、なんもかんも御破算にしたいんだべ。ジーデーピーはマイナスだしよ、女の大臣はインチキがバレて辞めるし、北朝鮮にはどうせまた遊ばれるし、この先シンゾー君にはいいこと一つも無いさな。まあここらで選挙に勝って仕切り直しすれば、またしばらくは安泰だっちゅう計算なんだべ。」 (おお、上から目線で悪いけど、結構ちゃんと見てるじゃないの。) 「親方が儲かったら子方も銭コ貰えるとか言うけどよ、オラなんかさっぱりまわってこねえって!金持ちばっかりいいおもいしてるんだべ。第3の矢はどうなってんのよ。ホントにあるんだべな、無かったらペテン師だど。」 「オレら農家は昔からなんだかんだいってもずーっと自民党だったんだ。だけどもう入れるヤツなんかいねえど。テーピーピーでも百姓ばいいだけ馬鹿にしやがるしよ。エラい思いして土ばいじってんのがアホくさくなるでや。知り合
寂
「ピーーーィィユーーーーーーーーッ!」工房の窓の外、向かいの林の奥のほうから、黒くて暗い空気を突き破るような牡鹿の声。月は無い。星空といえば言えなくも無いが満天の星というほどでもない。晩秋の高曇りのせいか、明るくて勢いのある星たちが闇夜のあちこちで冷え冷えと瞬いているだけだ。そんな夜空でも、上方に目をやると樹々の梢はさらに濃い影になってはっきりと見える。人恋しさ(?)に震えるような牡鹿の声は、すでにかなりの時間が経つのに耳の中で今も響いている。 漆黒の林床に物音はしないが、声のした方へ目を凝らして想像してみる。 たぶん、あの声からするとここから50メートルとは離れていない。暗い林の中に立ちすくんだまま、角もそれほど立派とはいえない若い牡鹿が、正面の方角で鼻先を空に向け、ちょっとだけ首を傾けながら絞るように鳴いた。 冷たい空気によく通る声ではあるが、強壮なオスが牝を引き寄せようとする強引な欲望はこもっていない。忘れきれない母親の優しさやぬくもりを求めるような、未だ見ぬ恋人を遠慮がちに呼んでみるような、いやそれよりも、体内に澱んだ寂しさを声として吐き出したような声だった。もう山は雪の季節に