ムキムキボデイーのマッチョなじいさんが、勝ち誇ったようなイントネーションで『ヒキョーだろー」と自慢してみせる殺虫剤のCMがあるでしょう。 これを見る度に、誰からも見えない場所で同じように「卑怯だろオ」とほくそ笑む安倍晋三君が思い浮かびます。 アベノミクスによる景気の順調な伸びで税収は増えている。? 有効求人倍率は連続して伸びている。? と言ったかとおもうと、リーマンショック前夜。? 新興国の経済危機を招く。? だから消費増税は先送りすべきだ。? アベノミクスは順調に成果を上げているから失速させてはならない。? あきれるほどに破綻したロジックを恥ずかし気も無く口にできるこの人は、厚顔無恥という点では希代の総理と言えるでしょう。 増税前には駆け込み需要があり、増税後には消費が落ち込むのがはっきりしていて、それでも将来の社会保障の為にと17年4月からに決めた法律でした。「それまでにアベノミクスで盤石な経済状況ができるから再延期は絶対にない」との約束ををあっさり反故にしてしまい、この延期は国民の為の「新しい考え方」だとのたまわる。 どんどん紙幣を印刷し、大規模金融緩和とやらで銀行にマイナス金利
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奇妙な果実
頭上のありえない方向から人の声。??・・見上げると送電線の鉄塔の最上部に人影が。 目を凝らすと送電線にぶら下がる2人と鉄塔に掴まって別の仕事をする3人の影が逆光の中に蠢いている。 その様子を見ながら、ふっと想い出したのがストレンジフルーツというワード。 緊張を強いられながら仕事をしている人には失礼だが、「奇妙な果実」という図柄を連想してしまった。 ビリーホリデイが血を吐くように歌った「ストレンジフルーツ=奇妙な果実」は、つい数十年前まで米国南部で横行していたリンチ事件のことだから、この人達には全く関係がないのだが、ぶら下がる人達に古い映像の記憶が突然戻ってきた。 奴隷解放の南北戦争で南軍だった諸州、なかでもデイープサウス=深南部では、白装束のKKK=クー・クラックス・クランに代表されるような秘密結社が暗躍し、自立しようとする黒人や白人優位主義に反対する者をリンチにかけ、死骸を木から吊るして気勢を上げた。折しもニュース番組では、ケンタッキー州ルイビルからモハメド・アリの追悼式典を伝えている。黒人ながら白人を倒して金メダリストとチャンピオンになったが、レストランでは拒まれ、バスでは後部の黒
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緑したたる
早朝、高らかなカッコーの鳴き声が目覚ましでした。 クーラーの冷たい水をコップに半分ほど飲み干し、散歩の期待にはやる犬を連れて、ちょっと肌寒い朝の冷気の中に歩き出します。いつもの仲間と日高のキャンプ場でくつろいできました。肘付きの椅子に全身をゆだねて、木洩れ陽を顔に受けながら思ったのです。 言い得て妙なり。<みどり滴る>。 透き通るやわらかな黄緑の若葉を透過して落ちてくる光りは、やさしい緑色に染まっているように感じました。例えば鎌倉の常緑広葉樹茂る散歩道だったり、東南アジアの熱帯雨林でも、<緑したたる>と感じるかも知れません。ただその場合のイメージにつきものなのは湿度です。 今回感じたのは乾いた朝の空気の中でしたが、陽光に新緑が溶け込む、別の<みどり滴る>に出会えたような気がします。
芽吹きの前
6〜7年? いやもっと前だったでしょうか。何年前だったかはおぼつかないものの、暗闇に響き渡る木々の悲鳴だけは、今でも耳の奥にはっきり残っています。 10月の末、晩秋のことでした。 音も無く雨がしのついていましたが、夕方から地表近くに強い寒気が入り込み、まだ葉を落とす前の木々の梢から過冷却による結氷が始まったのです。 やがて雨はみぞれから湿雪にかわり、凍りついて重くなった枝葉の上に降り積もります。 その重い雪が20cmを越えた頃からです。氷と雪の重みに耐えきれなくなった木々が、バキッ!ベキッ!と悲しい音を響かせはじめました。樹齢50年くらいとおぼしき、直径30〜40cmもの幹がへし折られるほどの重さとは一体どれほどの力でしょうか。放置されたままの森では、すでに人知れず更新が始まっています。倒された木の樹冠があったところから林床に陽が差し込むようになり、出番を待ち続けていたハリギリやミズキやアカシアの若い木がいっせいに伸びはじめました。 その林床の木々が芽吹き始めると、森は見通せなくなり、朽ちはじめたたくさんの倒木も見えなくなってしまいます。 この時期だけの風景を見ながら、ぼんやり考えてい