Blog

New Zealandという国

記事イメージ

ニュージーランドという国のこと、日本人の平均的イメージはどんなものでしょう? 「赤道を挟んで季節が真逆な国。」 「ロードオブザリングやラストサムライのロケした国だっけ。」 「羊をいっぱい飼ってる!」 まあ。フツーはそんなイメージでしょうか。たしかに夏と冬があべこべですし、ラム肉輸入量の多くはニュージーランド産ですが、日本と似ているところがいっぱいあって、とくにわれわれ北海道人にとっては知るほどに親近感の湧くこと請け合いです。 北海道をひと回り大きくした北島と、本州を少し小さくした南島、合わせると日本よりもちょっと小さい島国ですが、思いがけない共通点がたくさんあるんです。 まず、世界地図を赤道で2つに折ると、日本とニュージーランドは緯度と経度が同じような位置にあるので、ピッタリ重なることはないものの意外なほど近くて驚きます。それが要因となって、両国にはそれほど時差も無く、なにより亜寒帯に近い温帯なのではっきりした四季があります。幾分暖かい日本に氷河こそないものの、日本では日本海が、ニュージーランドではタスマン海が水分の供給源となり、冬には南北に貫く脊梁山脈の西側が豪雪地帯となって、南半球

105年ぶり

記事イメージ

11月にこれほど真冬日が続いたのは、札幌では105年ぶりだとか。 札幌管区気象台のある街の中でさえそうなのですから、標高も高めの山中にあって常に3〜4℃は低い工房周辺では何日の真冬日があったのでしょう。 月がかわって師走になっても、当分のあいだプラス気温にはなりそうもありません。毎朝のこと、さらっと積もったフワフワの雪の上にたくさんの動物の足跡。 夏にはよほど注意しないと見えない痕跡ですが、雪の上なら動きのイメージまで伴ってはっきりと観察出来ます。常に天敵の猛禽やカラスを気にしているエゾリスやヤチネズミは、遮蔽物の無い白い雪原を横切る時に立ち止まることなどなく、最短距離で規則正しい足跡を残します。右に左にふらつきながら曲線の多い足跡はエゾタヌキです。もともと四肢が短いうえに冬毛でまん丸い体になったタヌキは、10センチも新雪が積もればその足跡のあいだにそっと羽ぼうきではいたような凹みがついています。直線的ではっきりした意思を感じさせる足跡は、子別れを終えたキタキツネたちです。ときどき立ち止まって首をもたげ、耳を澄ませたり突き上げた鼻で匂いを確かめ、それまでとは違う方角に進んでいます。身を

闇を切り裂いて

記事イメージ

なんとなくバタバタと日々を送るうちに立冬も過ぎさり、山肌はすっかり冬枯れの無彩色になりました。 先月までの叩きつけるような氷雨やみぞれは今月になって硬いあられになり、11月も半ばの今日、窓の外には小さくちぎった白いわたのような雪がゆっくり舞い降りています。 近づいて来る気配を感じていた冬の足音は、いつのまにかこの空と土地に座り込んでしまったようです。どんどん日の入りの時刻が早まり、夕方の5時を待たずに工房の周囲が暗闇に包まれる頃、その深く黒い空気を切り裂くようにエゾシカの鳴き声が響き渡ります。逃れようのない心細さや、耐えるしかない淋しさと哀しさを音にして、若い牡鹿が虚空を見上げ、ピイーーーーーユーーーッ!と振り絞る叫び声ほど哀切な鳴き声を知りません。この数年、生息数を増やして来たこのあたりのエゾシカですが、厳しい冬を乗り越える為でもオスどうしが群れを作ることはありません。磁石のN極どうしがくっつくことがないように、お互いに付かず離れず、鳴き声と目視で生きていることを確認しながら、雪の中に立ち込んで長い冬を耐え抜きます。

無意根山初冠雪

記事イメージ

気持ちよく晴れ渡った秋空の下、今朝の無意根山は雪で白くなった姿でいつもの場所に座しています。数日前からなんとなく白くは見えていたのですが、うっすらと雲がかかったり霧のようにもやっていたりで、はっきり確認はできませんでした。 あと2週間もしないうちに札幌の街も初雪を迎えます。3台のクルマのタイヤやワイパーを冬用に交換したり、除雪機のチェック、庭木の冬囲いと、秒読みのように近づく冬をまえにして気ぜわしい季節を迎えました。ただ、今年はなぜか、その脅迫的な気ぜわしさをあまり感じられません。 すでにキャンパーのタイヤ交換を済ませたからかなとも思いましたが、いやいや、もう1ヶ月も前に何度か雪の洗礼を受けたからだと想い至りました。この画像はカナダ・アルバータ州・キャンモアのキャンプ場ですが、これに先立って9月の中旬からバンフ、エドモントンと何度か雪に降られました。道路が圧雪状態になるようなことはこの時期にはありませんし、キャンパーもオールシーズンタイヤを履いているのでとくに困った訳ではなかったのですが、寒さや雪にそれほど抵抗感が無いのは、融けかかってシャーベット状の地面や降りかかる雪の冷たさにすっか

雪虫の舞うころには

記事イメージ

色づいた木の葉はわずかな風で落ち始め、柔らかい斜光に雪虫舞う季節になりました。毎年のことですが、この時期にはありとあらゆる虫たちが越冬の準備に入ります。 木々の根元に潜るもの、樹皮の隙間に潜むもの、卵に次代を託して死に果てるものと、それぞれにさまざまな越冬のかたちがありますが、里山に近い家々で話題になるのがカメムシでしょう。大量に発生すればするほど、その匂いで厄介者にされるカメムシですが、カメムシはカメムシでも、関心を持ってよく見ると不思議なことに毎年その種類が変わります。 今年の主役カメ君は写真のチャイロクチブトカメムシで、これといって特徴のない地味なやつばかりが越冬客の大半です。 小ぶりで黒っぽいスコットカメムシだったり、緑色のエゾアオカメムシだったりと、その年によって違うのはなぜなのか。それはその夏の昆虫社会を振り返ってみれば、なるほど結果論として納得がいくのです。 カメムシ目の仲間は非常に多く、セミやヨコバイ、アメンボやミズカマキリなどもその仲間に入りますが、その強烈な匂いで身を守る(これは決して攻撃ではなく、鳥についばまれて自身が死ぬことになっても、二度と仲間に繰り返されない