年別アーカイブ: 2022

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見らさる

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見らさる・・・若い人や道民以外には伝わらないだろうが、うまく説明し難いニュアンスを含んだ便利な北海道の方言である。 意思に反して見てしまうとか、さして見たい訳ではないが強制的に見せられる、といった強い反意語ではない。「見るつもりはないけど誘惑に負けてなんとなく見続けてしまう」という程度の、行動の背後にある曖昧な雰囲気を上手に丸めて収めた、慣れるとつい使ってしまう北海道弁だ。 「内臓脂肪を気にしてるのについ箸が出て食べらさる」「気分がいいとどうしてもとことん呑まさるべや」「禁煙してるのに誰もいないところだとやっぱりつい吸わさるんだわ」「夏休みも残り僅かになったのに宿題に手が付かず、夜遅くまでTVゲームで遊ばさる」といった感じで、人によってはこれを多用する。 先月24日にプーチンのロシアがウクライナに侵攻してから、昼となく夜となくおぞましい爆撃の状況が伝えられる。国連の臨時総会でもNOを表明した141か国をはじめ、棄権した35か国であっても、ロシアやベラルーシ以外、プーチンに正義があるという国はない。ロシアの国内にあっても報道統制が敷かれ、戦争反対のデモ参加者が13000

超ハイルーフ

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3日間続いた暴風雪がやっと静まった。1,6Mの積雪というが連日の除雪。ここに移ってから30年の記憶をたどれば2番目か3番目。ここ2~3年は少雪だったので、筋肉疲労がなまった身体によけいに応える。 JRも飛行機も全便欠航、高速は止まるしバスさえも一部運行中止で市内はマヒ。   綿帽子といえばソフトなイメージだが、キャンパーの上にも80cmの雪。 がんばって下ろすか。  

どろがめ先生の想い出

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雪の中に散らばる無数の黒い点・・。 畳んだダンボール箱を整理していた時のこと、パラパラパラと何百匹もの虫が落ちてきた。ダンボールの隙間に集団で冬眠していたカメムシたちだ。去年の夏に大発生したオオカメムシやスコットカメムシなど数種類が、ビッシリ躰を寄せ合って冬の寒さを凌いでいる最中だったようだ。 落下を免れて隙間に残っていたヤツらは、またそっと畳んで元の場所に戻してみた。雪の中のヤツらは仮死状態で動かないが、死んでいる訳ではないので指でつまむとあの強烈なニオイが漂う。雪を払い落として拾い集めたとしても、ふたたび春に目覚めるのは無理だろう。かわいそうだが大量虐殺の現場はそのまま手を着けずに保存する。   カメムシを見るたび想い出すのは今は亡きどろがめ先生だ。一度も教壇に立ったことのない東大名誉教授として有名な東大富良野演習林の高橋延清先生は、自ら<どろがめ>と称し、聞き手を引き込む独特の話術が得意なおじいさんだった。 20年以上も前になるが、ホタルに関するシンポジウムが道新ホールで開かれ、どろがめ先生に自由なテーマで講演を依頼した時のこと。畳敷きの楽屋で長机に寄りかかり、差し

別れたオンナは、、

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仕事に使っていたクルマを乗り換えることにした。 大きなトラブルも無く、二十数年間で30万キロ近く走ってきたランドクルーザー80だ。何度かの日本縦断に加え、北海道の隅々まで走り回っていつも一緒だった。 加齢による体力の低下は否定し難く、若い頃なら一人で何ごともなくルーフトップできたカヌーやタンデム艇を積みにくくなり、仕事場の外の柱にミニクレーンのようなホイストを設置して、まず吊り上げてからクルマに乗せるという二度手間が避けられなくなっていた。 ちょうど車検のタイミングでもあったし、いっそのことハイエースのバンにオーバースライダーというキャリアを取り付けてやればその方が簡単そうだし、最近増えてきた分割艇も個別に梱包したものを荷室に難なく積み込める。 こう決心してクルマを探す段になってハタと気付いたのが、これまで全く考えもしなかった自分自身の残り寿命だ。新車を買ったって20年も乗れるわけじゃない。免許返納を言われる80歳にもなってバンは無いだろう。カヤックを積んで長距離を走るような今の仕事が続けられるとして、とりあえず5年、上手くいったって10年か?よし、程度はソコソコの中古車を見つ

がんばれよ!

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元旦からもう半月が過ぎたが、降り続く雪に除雪の手を休めない。自宅と仕事場の両方で除雪機を動かさなかったのは二日もあったろうか。 昨日は腰上ほどの屋根の雪を、助っ人のHと一緒にほとんど下ろしたし、今日もやっぱりクルマの上の雪を下ろし、昼前まで工房周辺の除雪に掛かってしまった。 熱いコーヒーをすすりながらPCを開けてメールのチェックをしている時のこと、床下から微かな音と何かが動く気配。ネズミや鳥が立てる音にしてはやや大きめ。でもまあよくあること。数秒で関心は薄まり、コーヒーのカップを口に戻し、何とはなしに窓の外を見やる。 「・・・!ん?、何だ?」 床下から子ダヌキが這い出してきて道路の方にひょこひょこと歩いて行く。この時期に見慣れたタヌキはふかふかの冬毛でからだがまるく見えるくらいだが、この子は夏毛のように痩せている。疥癬にでも罹っているのだろうか。 あの動きならまだ間に合うだろうとカメラを掴んでおもてに出てみると、意外にワダチの雪道を100メートル近く進んでいた。この距離では写真にならないと諦めて見送る。何か声を出した訳ではないのにこちらの立ち姿を認めて立ち止まると、速足で逃げるどころか