年別アーカイブ: 2018

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想い出の書店

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所用で上京した折りに、ホテルが近かったこともあり、むかし時々のぞいた本屋を訪ねてみようと思った。 本棚の片隅に処分できずに積み上げたままの1冊を見つけたのがきっかけだった。古い本を見つけて懐かしい気持ちになることはあっても、それを買った本屋まで覚えていることはめったにない。しかし、買ってから半世紀近く経つこの本は、表題がショッキングだったからか、それを手に取ったときの様子まで今でもはっきり想い出せる。新宿駅西口の小田急デパートから、西口交番や小田急ハルク方面に向かって一旦地下広場におりる階段の脇にあった本屋。 ちゃんとした書店というよりも、踊り場のようなスペースを有効利用した、週刊誌や雑誌がメインのちいさな店だった。すぐに見つかると思っていたが見当たらない。建物や構造が変わっている訳ではないので、記憶をたどってそれらしい階段を何度か上がったり降りたり。 どうやらその場所はスイーツ屋さんに変わっってしまったようだ。 「これだけ年数が経てば当然だ。まして今では全国民が電波に絡めとられてスマホから目が離せなくなったとなれば、本屋も雑誌も続くわけないか。」と思いつつ、ほんのちょっぴり淋しさを引

最後の1台

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1996年から作り続けてきたスノーシューですが、その製作をやめてから今年で3年目になりました。 これまでにおよそ1万台を作りましたが、多くは今でも各地で使われているようです。 「せっかく普及してきたんだから、なにも止めなくても。」との声も頂きましたが、作ろうと思い立った時と同様に、止めようと考えるようになったのにも理由がありました。そもそもはといえば、当時アメリカから輸入されるようになったスノーシューは高価だったので、自分用に作って履いて歩きまわったのがきっかけでした。そのうちにこのツールが持っている広い汎用性に気付きます。アウトドア誌でニューアイテムとして紹介されていたからかも知れませんが、その頃のシェアの大半は雪国ではなく首都圏などの都市部の新し物好きや道具マニアが占めていました。使う人を雪上に誘うという意味では同じようなことでしょうが、北海道では加えて生活用具としての側面に大きな可能性もあり、閉鎖的になりがちな北国の冬に解放感をもたらしてくれる道具だという発見がありました。札幌オリンピックの後に起こった歩くスキーブームは10年ちょっとで勢いを失くし、一般の人々にとって道路以外の雪